【O-54】本院小児歯科における低ホスファターゼ症のALPL遺伝子の遺伝形式についての分析
大阪大学大学院 歯学研究科 小児歯科学教室
低ホスファターゼ症 (HPP) は、骨の石灰化不全と4歳未満の乳歯早期脱落を主症状とし、ALPL遺伝子の変異によって引き起こされる骨系統疾患である。軽症型の場合、歯科症状をきっかけにHPPの診断に至ることもある。本研究では、本院小児歯科で口腔内管理を行なっているHPP患者のALPL遺伝子の遺伝形式を、歯限局型と骨症状を有するそれ以外の病型に分けて比較した。歯限局型では常染色体顕性遺伝形式が有意に多く、それ以外の病型では常染色体潜性遺伝形式が有意に多く認められた。また、乳歯の早期脱落をきっかけにHPPの診断に至った、複合ヘテロ変異を有する全身症状を伴う病型が存在した。さらに、歯限局型においても複合ヘテロ変異を確認した。HPPは進行性の疾患であることから、歯科症状からHPPの早期診断に繋げる医科歯科連携体制の確立が急がれる。また、歯限局型の予後を考える上で、ALPL遺伝子の遺伝形式が重要であることが示唆された。