【ES-1】消化管発生の基礎と応用
東京医科歯科大学 実験動物センター
原始腸管 (primodial gut) は胚性内胚葉由来である。その後の発生ステージである器官形成初期には、口腔咽頭膜 (oropharyngeal membrane) と排泄腔膜 (cloacal membarane) によって頭側端と尾側端が閉じている盲管を形成し、部位特異的な遺伝子発現制御により領域特異性を生じ、前腸、中腸、後腸を構成する。また三次元方向 (背腹軸、前後軸、放射状) の位置情報により、消化管組織と器官発生構築がなされるが、この時期の腸管管腔形成とその不均衡による閉塞などが先天異常の重要なポイントとなる。胚性内胚葉決定にはSox (Sry-related HMG box) 17遺伝子が重要な役割を担うが、私たちはSox17 遺伝子が内胚葉発生に重要な役割を担うことをマウスモデルと用いて証明してきた。本講演では、初期発生の基礎について説明すると共に、初期内胚葉決定遺伝子であるSox17の器官形成期における新たな機能と疾患モデルとしての可能性について報告する。