【ES-3】ラットにおけるVLA-4アンタゴニスト誘導体の催奇形性とその回避
第一三共株式会社 ワクチン研究所
VLA-4(インテグリンα4β1)は細胞表面リガンドである血管細胞接着分子-1(VCAM-1)に結合し細胞間接着に関与する。VLA-4は心臓の発達に重要な役割を果たしており、一部のVLA-4阻害薬が動物実験で心臓の異常を引き起こすことが知られている。この研究ではVLA-4阻害作用を有する誘導体の催奇形性をスクリーニング評価し、心臓に対する催奇形性を回避するために必要な条件を検討した。
VLA-4阻害誘導体17種類を妊娠10、11日または胎児の器官形成期(妊娠6-17日)にラットに1000 mg/kg/日で1日1回経口投与した。妊娠21日に母動物を麻酔して胎児検査を行った。非活性化状態である低親和性のVLA-4阻害作用の評価および血漿と胚中の薬物濃度を測定し、それらと心臓異常の発生率との関係を調べた。
心室中隔欠損(VSD)および左心房小型化(SLA)の出現率の増加が17種類中8化合物でみられた。VSDおよびSLAの発生率はさまざまで、0-100%の範囲であった。低親和性VLA-4の拮抗作用の程度とVSDおよびSLAの発生率との間に関係は認められなかった。母体の血漿中薬物濃度(Cmax)は、VSDおよびSLAの発生率の増加と関連性が認められたが、投与後24時間の胚における化合物の濃度がほぼみられない場合はこれらの発生率は増加しなかった。
胚における長時間の継続的な薬理活性は、心臓の内部細胞の接着を妨害する可能性があり、薬効の持続時間を24時間以内にすることにより、心臓の異常形成を回避できる可能性があると考えられた。
VLA-4阻害誘導体17種類を妊娠10、11日または胎児の器官形成期(妊娠6-17日)にラットに1000 mg/kg/日で1日1回経口投与した。妊娠21日に母動物を麻酔して胎児検査を行った。非活性化状態である低親和性のVLA-4阻害作用の評価および血漿と胚中の薬物濃度を測定し、それらと心臓異常の発生率との関係を調べた。
心室中隔欠損(VSD)および左心房小型化(SLA)の出現率の増加が17種類中8化合物でみられた。VSDおよびSLAの発生率はさまざまで、0-100%の範囲であった。低親和性VLA-4の拮抗作用の程度とVSDおよびSLAの発生率との間に関係は認められなかった。母体の血漿中薬物濃度(Cmax)は、VSDおよびSLAの発生率の増加と関連性が認められたが、投与後24時間の胚における化合物の濃度がほぼみられない場合はこれらの発生率は増加しなかった。
胚における長時間の継続的な薬理活性は、心臓の内部細胞の接着を妨害する可能性があり、薬効の持続時間を24時間以内にすることにより、心臓の異常形成を回避できる可能性があると考えられた。