【O-39】顎顔面形成におけるGATA3の組織特異的役割
大阪大学歯学研究科 顎顔面口腔矯正学講座
ヒトにおけるGATA3の変異はHDR症候群を引き起こされることが知られている。HDR症候群では頭蓋顎顔面領域においては後鼻孔閉鎖が起こることが知られているがそのメカニズムは不明である。そこで、本研究では、Gata3が顎顔面形態、特に鼻腔及び後鼻孔の形成をどのように制御しているかを明らかにする為に異なるコンディショナルノックアウトを比較することにより、Gata3の組織ごとの役割を解明する事を目的とした。組織学的な解析から胎生時期特異的に全身でGata3をノックアウトすると後鼻孔閉鎖を引き起こすが、神経堤細胞特異的なGata3の除去は後鼻孔閉鎖を引き起こさない事を見出した。この事は後鼻孔の形成には胎生上皮のGata3が重要な役割を果たす事を示唆している。また神経堤細胞特異的なGata3の除去は鼻中隔の形成不全を引き起こす事も判明し本発表ではそのメカニズムについても考察を行う。本研究は大阪大学倫理員会の承認の上で行った。