【O-35】ddY系由来遺伝性白内障(MCT)マウスに関する研究:疾患責任遺伝子の探索
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 獣医学専攻 統合生体学領域
白内障モデルであるMCTマウスの原因遺伝子が2番染色体上に存在することを本学会で報告している。本研究はMCTマウスの疾患責任遺伝子の同定を目的とした。まずゲノムリシークエンスならびに遺伝子発現量解析を実施し、候補遺伝子を3つ(Cntrl:スプライスサイトに変異あり, Hc:5’-UTRに変異あり, Ggta1:5’-プロモーター領域に欠失変異あり)に絞り込んだ。その後さらに、RT-PCR、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学染色、レクチン(GSLIB)染色を常法に従い実施した。レクチン染色の結果、MCTマウス水晶体では陽性反応が確認できず、α-gal抗原の欠失が示唆された。α-gal抗原を生合成するα1,3GTはGgta1遺伝子によってコードされていることから、Ggta1遺伝子の変異がα1,3GT機能の低下を引き起こしていることが明らかとなった。Ggta1 KOマウスが白内障を発症するという報告もあり、MCTマウスの疾患責任遺伝子はGgta1遺伝子である可能性が高い。