【O-33】遺伝性白内障の発症および病態進行に対する母体葉酸摂取の影響
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 獣医学専攻 統合生体学領域
【目的】白内障の発症および病態の進行への活性酸素による酸化ストレスの関与が報告されている。本研究では遺伝性白内障モデル(CF#1/b cacマウス)を用い、妊娠母体の葉酸摂取が新生子の白内障発症、病態進行に及ぼす影響を調べた。【材料・方法】葉酸水溶液を自由摂取させ、得られた新生子を葉酸投与群とし、眼球の組織観察(16日齢、28日齢、35日齢)と酸化ストレスマーカー(SOD様活性)の測定(16日齢、35日齢)を行った。【結果及び考察】開眼日齢は有意に延長したが、発症日齢に差は認められなかった。葉酸投与群、対照群ともに加齢に伴い水晶体における空胞領域の増加が認められた。28日齢、35日齢の葉酸投与群では、皮質領域および水晶体上皮の空胞化が軽減された。16日齢、35日齢において、葉酸投与群のSOD様活性は対照群に比べて有意に高かった。以上のことから、母体葉酸摂取による新生子の抗酸化能の上昇、ならびに白内障の病態進行の抑制が示唆された。