【LS-2】胎児画像診断による出生前遺伝子解析の適応
クリフム出生前診断クリニック
NIPT、PGT-A、分子遺伝学の急速な発展により出生前診断においても遺伝学的知識が要求されるようになってきた。諸外国では出生前の染色体マイクロアレイ(CMA)検査や遺伝子検査も多く報告されるようになった。当院では倫理委員会の承認を得て胎児超音波画像診断・絨毛・羊水検体からデータ分析し、選択例でCMA, TES(ターゲットエクソーム検査)を行っている。現在では6,704遺伝子のパネルを用いその中から各領域別に遺伝子群を選択し表現型異常にマッチした遺伝子群を解析対象とすることにより網羅的解析ではなく選択的遺伝学的解析を可能としている。またシークエンスデータをもとにXHMMアルゴリズムを用いてコピー数異常の有無も解析している。当院ではTESを行った症例のうち病的陽性率は33%であり、出生後に表現形異常のため遺伝子検査をおこなう小児例と比較しても検出率は高い。これは、胎児期において詳細超音波検査で胎児形態を正確に分類評価することにより、出生前遺伝子検査の適応を絞っているからであろう。また,大脳皮質形成異常に関する遺伝子変異は出生後の報告は多くなってきているが、出生前の画像診断との関係はまだ明らかになっていないものも多い。当院では胎児脳センターを設立して詳細な神経超音波検査により妊娠18-21週で大脳皮質形成異常を予測できる超音波マーカーを考案し、それらと関連した遺伝子変異の診断を行っている。mTOR系関連遺伝子など、脳発達に重要な遺伝子変異などが多く見つかってきているが、これらの遺伝子解析はすべて詳細な脳神経系超音波診断と密接に関係している。今回の講演では、種々のデータ解析とともに出生前遺伝子解析の適応についての詳細を講演の中に盛り込んでわかりやすく解説したい。