【SP-1(O-7)】母体免疫活性化の曝露による出生後の小胞体ストレス応答不良と炎症に対する感受性亢進の誘導
1)金沢医科大学 小児科学
2)富山県済生会富山病院 脳神経外科
3)金沢医科大学 解剖学
4)金沢医科大学 生物学
2)富山県済生会富山病院 脳神経外科
3)金沢医科大学 解剖学
4)金沢医科大学 生物学
本研究では妊娠中期にpoly(I:C)による母体免疫活性化(MIA)を誘導し,出生後の炎症刺激に対する免疫応答と臓器への影響を検討した。MIA曝露マウスでは出生後の炎症刺激によって,過剰な炎症性サイトカインの誘導と急性肝細胞壊死を認めた。炎症や感染曝露時の細胞の恒常性維持に必要不可欠である小胞体ストレス応答(UPR)について検討を行い,小胞体ストレス関連分子の発現低下を明らかにした。刺激に対する適切なUPRは,細胞の恒常性維持に有利に働くが,過剰あるいは不十分なUPRは細胞の恒常性が維持できず,細胞死を惹起する事が報告されている。このことから,MIAにより出生後の炎症曝露時にUPRが不十分となり,免疫の過剰反応と肝細胞壊死が惹起された可能性が高い。本研究成果は胎生期に過剰な免疫反応に暴露されることが,出生後の炎症性疾患のリスク因子形成に関与する可能性を示すものである。本研究は金沢医科大学動物実験委員会の許可を得て行った。