【S3-2】虎の門病院/妊娠と薬情報センター統合データベースからのエビデンス構築について
国立成育医療センター妊娠と薬情報センター
本邦における2大Teratology Information services:TISは虎の門病院(1988年開設)と国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センター(2005年に開設)である。両TISは、妊娠と薬に関する相談外来の業務を行なってきた。相談に際して必要となる情報は、ヒトの妊婦の曝露例を元とした疫学研究であるが、実際は十分な疫学研究が存在する薬剤は限られているのが現状である。両TISは、相談業務のみならず、相談症例データベースの構築に務めてきた。データベースには同意が得られた妊婦に対して、妊娠中に使用したすべての薬剤と曝露時期などの情報をはじめ、出産時の児の情報や先天異常の情報も含まれている。日本医療研究開発機構(AMED)委託研究費「妊婦及び授乳婦への薬物投与に関するリスク・ベネフィットに関する研究」(2017-2020)において、各施設の相談症例データベースを活用し、妊娠中の薬剤の安全性に関するエビデンスを構築すべく、症例数を増やすことを目的として両データベースの統合をおこなった。統合データベースの中でn数が多く、かつ研究開始時点で十分なエビデンスがない薬剤を選定し、研究対象薬剤とした。両施設でそれぞれ独自のフォーマットを用いており、共通する項目と異なる項目があり、共通項目においてもコード化が異なるなどの違いがみられた。本シンポジウムにおいては、統合データベースを活かした妊娠中の薬剤の安全性に関するエビデンスの確立について実際の例を紹介するとともに、今後当該分野におけるエビデンスを確立していくために必要な情報収集の在り方を論じたい。