【O-11】ディーゼル排気由来超微小粒子の胎児期曝露が児の海馬神経活動に影響を及ぼし、学習・記憶障害を引き起こす
1)国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部
2)東京理科大学 薬学部
2)東京理科大学 薬学部
化学物質曝露に感受性の高い妊娠期間中にディーゼル排気微粒子(DEPs)を曝露した子どもの健康被害に関する十分なエビデンスはなく、それを予測するための動物実験系の開発が喫緊の課題である。我々は、DEPsをマウスに吸入曝露させるシステムを構築し、妊娠ICRマウスを清浄空気または0.1mg/m3の濃度で吸入曝露を実施することとした。児は10週齢でオープンフィールド試験と学習記憶試験を行った。その結果、Morris water maze testで曝露群の空間記憶の保持に影響が認められた。また、行動試験終了後に海馬を採取し遺伝子発現と免疫組織学解析を行った結果、特に空間学習と深く関連するCA1領域でNMDA受容体(NR2A)の発現低下が曝露群で認められた。さらに、定常状態においても曝露群海馬のc-Fos発現低下が認められたことから、遅発的に海馬の神経活動低下が生じ空間学習記憶が障害された可能性が示唆された。