【S3-3】ドンペリドンの催奇形リスクに関するコホート研究
虎の門病院 薬剤部
ドンペリドンは吐き気、嘔吐などの胃腸症状の治療に広く使用されている。生殖発生毒性試験において高用量投与で催奇形性が観察されているため添付文書では妊婦又は妊娠している可能性のある女性への使用は禁忌であるが、妊娠と気づかず胃腸症状に対して処方された女性が服薬後に胎児への影響を心配する症例が少なくない。ドンペリドンの催奇形リスクに関しては人では小規模コホート研究が報告されているのみであった。
本研究では、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」又は虎の門病院「妊娠と薬相談外来」にてカウンセリングを受けた症例の結合データベースを用いて、妊娠第1三半期のドンペリドン曝露による催奇形リスクを評価した。選択基準に合致したドンペリドン服用例は519人であり、対照群は非催奇形薬剤服用例1673人とした。単生児における大奇形の発生率(95%信頼区間[CI])は、ドンペリドン群で2.9% (14/485、95%CI: 1.6-4.8)、対照群で1.7% (27/1554、95%CI: 1.1-2.5) であり、ドンペリドン群と対照群の間で大奇形発生率に有意差は見られなかった (調整後オッズ比: 1.86 [95%CI: 0.73-4.70]、P=0.191、多変量ロジスティック回帰分析)。なお、妊婦の制吐薬としても汎用されるメトクロプラミド服用例241人を参照群として対照群と比較したところ同様の結果が得られた。
今回の研究で、妊娠第1三半期のドンペリドン曝露が出生児の大奇形発生のリスク増加と関連していないことを示すことができ、服薬妊婦の不安を軽減しうる根拠を提示できたと考えられる。欧米では催奇形カウンセリング施設が共同して実施したコホート研究により人胎児への催奇形リスクを解明した研究が報告されている。本邦では我々の研究が初めてのものであり妊婦服薬カウンセリング施設における妊婦曝露例・新生児データの集積と解析が有用であることが確認された。
本研究は指針に則り両施設の倫理委員会の承認を得て実施した。
本研究では、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」又は虎の門病院「妊娠と薬相談外来」にてカウンセリングを受けた症例の結合データベースを用いて、妊娠第1三半期のドンペリドン曝露による催奇形リスクを評価した。選択基準に合致したドンペリドン服用例は519人であり、対照群は非催奇形薬剤服用例1673人とした。単生児における大奇形の発生率(95%信頼区間[CI])は、ドンペリドン群で2.9% (14/485、95%CI: 1.6-4.8)、対照群で1.7% (27/1554、95%CI: 1.1-2.5) であり、ドンペリドン群と対照群の間で大奇形発生率に有意差は見られなかった (調整後オッズ比: 1.86 [95%CI: 0.73-4.70]、P=0.191、多変量ロジスティック回帰分析)。なお、妊婦の制吐薬としても汎用されるメトクロプラミド服用例241人を参照群として対照群と比較したところ同様の結果が得られた。
今回の研究で、妊娠第1三半期のドンペリドン曝露が出生児の大奇形発生のリスク増加と関連していないことを示すことができ、服薬妊婦の不安を軽減しうる根拠を提示できたと考えられる。欧米では催奇形カウンセリング施設が共同して実施したコホート研究により人胎児への催奇形リスクを解明した研究が報告されている。本邦では我々の研究が初めてのものであり妊婦服薬カウンセリング施設における妊婦曝露例・新生児データの集積と解析が有用であることが確認された。
本研究は指針に則り両施設の倫理委員会の承認を得て実施した。