【S1-1】スマートデバイスを用いたゼブラフィッシュ行動解析法の開発と応用
三重大学 大学院 医学系研究科 統合薬理学
先天異常には様々な遺伝的・環境的要因が関与することが示唆されている。先天異常のメカニズム解明において、小型脊椎動物であるゼブラフィッシュの有用性が世界的に認識されつつある。ゼブラフィッシュは一度の交配で数百の受精卵を得ることができ、遺伝子操作や化合物投与も容易に行うことができる。発生も速く、受精後5日目には主要臓器が形成され、様々な行動レパートリーが出現する。この時期のゼブラフィッシュの体長は3 mm前後であり、96ウェルプレートのウェル内で飼育することができる。従来、ウェル内におけるゼブラフィッシュの形態や機能の評価は、顕微鏡や行動解析に特化した装置が使用されてきた。近年、スマートフォンやタブレットなど、カメラ機能を有するスマートデバイスの普及率が高まっている。これらのデバイスを用いてウェル内のゼブラフィッシュのイメージを取得することができれば、遺伝子操作や化合物投与がゼブラフィッシュの形態や機能に与える影響を簡便に評価することが可能となる。本発表では、我々が開発したスマートデバイスを用いたゼブラフィッシュ行動解析法の概要と、先天異常学研究への応用について報告し、ゼブラフィッシュを用いた先天異常学研究の新たな潮流に関する議論の嚆矢としたい。